人にも環境にも優しい草木染め

草木染めは、複雑な色合いが出せることが最大の魅力です。1点1点の仕上がりが同じにならず、どれも唯一無二のものになります。また、草木染めの原料となる植物の中には、抗菌や病気予防などの効果を秘めたものもあります。古代より服は着る薬であり、「服用」の語源もこのことからきていると言われています。

合成染料の排水は環境汚染の原因とされていますが、天然由来の草木染めであれば染色の際に出る排水や廃棄物も自然に戻るため、環境への負荷がなく、自然環境の中で循環します。例えば、yinyangのバリ島にある染め工場では、染液は全て自然由来ですが、染めた後の原液はそのまま下水へ流さず、まずは工場内にあるビオトープへ流しています。また染め色が抜けた植物はコンポストに利用され、他の植物の堆肥として利用するため土に還ります。 自然と共に生きるために、限られた資源を少しでも有効活用し、循環できるようなシステムがものづくりの中にも息づいています。

インドネシア バリ

Indonesia Bali

インドネシアで製造する製品は、全て伝統的な草木染めを採用しています。基本の5色を混ぜ合わせ、ユニークで独特のカラーを生み出す草木染めは、1点1点の仕上がりが同じにならず、どれも唯一無二のものであるのも大きな魅力です。
草木から出される色の美しさに惚れ込み、自然環境の保持と関わる職人さんの健康のために選択した草木染めは、時に私達が思うより素晴らしい色に仕上がります。それは私たちに感動を与え、自然の美しさを教えてくれました。

バリ島で草木染めを取り入れるようになり製造のサイクルも大きく変わりました。多くの葉を必要とする草木染めは、自然界のサイクルとともに進めます。気候の違い乾燥や豪雨の時期が長く続き全く同じようにはいきません。草木染めは環境に取り組むための課題が尽きません。「自然環境に負担をかけない物作りとはなにか」私たちは、常に考え、新しいことに取り組みます。そして、チャレンジさせてもらえる環境と、繋がりに感謝しています。

草木染め基本5色

Indigo(青色/ ジャワ産)

インディゴは、古代文明のころより染め物に使われてきた最も古い染料のひとつです。インディゴから生まれる青色は、世界各地で昔から染められてきました。ジャワ産のインディゴの葉からは、スモーキーな青色に染まります。藍染された生地や衣類は防虫効果や消臭効果があるとされ、日本でも古くからよく用いられていました。

Mahogany(茶色/ バリ産)

古くより上質な木材として世界中で親しまれてきたマホガニーは、現在はインドネシアでも貴重な植物として大切に守られています。yinyangで使用しているマホガニーの染料は染め工場の畑で育つマホガニーの樹から葉を収穫しています。

Secang (赤色/ ジャワ産)

セチャンの樹から染め色で赤色を出すには高度な技術を必要とするため、職人の経験と技を必要とします。媒染しないと黄褐色、ミョウバンで媒染すると赤色、椿などの木灰で媒染すると赤紫色、鉄で媒染すると黒味がかった紫色になります。セチャンが収穫される時期で色が異なるため、その時々の赤色を楽しむことができます。

Ketapang (黒色/ バリ産)

クタパンはマングローブと似た品種の樹で、バリ島では海の近くにもよく生息しています。クタパンの葉から生まれる色は墨のような情緒のある上品な色合いの黒に染まります。
日本では桃玉菜またはクワディーサーと呼ばれており沖縄など南の地域でよく見かける植物です。

Mango (黄色/ バリ産)

南国の果物・マンゴーの葉から生まれる染色はマスタードに近いあたたかみのある色味です。マンゴーは樹高30~40mの常緑高木で、実は漆の仲間です。バリではいたる所にマンゴーの樹があり、素材に困ることはありません。

バリ染色工場におけるビオトープの取り組み

染液は全て自然由来ですが、染めた後の原液は自然環境にとっては強すぎるため、そのまま下水へ流さず工場内のビオトープへと流しています。 ビオトープとはギリシャ語の「bios(生物)」と「topos(場所)」の合成語で、さまざまな生き物が自然な状態で共生し、生息域や空間のことを意味します。 私たちの染色工場のビオトープの水槽には、浄化作用に優れた水草の布袋葵(ホテイアオイ)を自生させており、生物が必要なバランスを整えてくれます。

その後、染め液はバナナの木の下へと流れていき、そこでも浄化されその栄養で元気なバナナを育てることが出来ます。 そして最終的には自然により返りやすくなった排水となり川へ海へと流れてゆきます。また染め色が抜けた植物はコンポストに利用され、他の植物の堆肥として利用するため土に還ります。 自然と共に生きるために、限られた資源を少しでも有効活用し、循環できるようなシステムがものづくりの中にも息づいています。

徳島県立城西高等学校

蓼藍(たであい)を発酵させた蒅(すくも)を用い、一点一点を手で染め上げた日本の伝統「本藍染め」。
徳島県立城西高等学校阿波藍専攻班では、タデアイを栽培するところからはじめ、販売までの6次産業を行なっていおり、「阿波藍文化の継承と広がる交流活動」をモットーに掲げ、次代へJAPAN BLUEを繋ぐべく真摯に取り組んでいます。
一度は途絶えかけた伝統的な文化を、未来を創る高校生たちがこの学校で学び、伝統文化の担い手となって社会へ出て行きます。

蓼藍を育てるところから行い、種蒔き、苗の定植と、細かい管理をしながら、かん水・除草・追肥・土寄せを行い、夏の暑い時期に2回刈り取りの実習が行われます。また刈り取った藍は、粉砕機で細かく葉と茎に切り分けられます。
そしてそれを寝せこみという作業を通して、水打ち・切り返しを行い発酵させ、染料の元となるすくもを作ります。

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